ヴィンテージポートワインの特徴としては、その年ごとのポートワインの環境状況が良いと思われる時期に「ヴィンテージポート」としての「宣言」が行われます。環境状況が良いとはどういう事かと言うと、その年に「最高の品質のワインが出来た」という事と、その宣言をしようとする時期に、市場環境が整っているという事です。例えば1931年は素晴らしいワインが出来た年でしたが、1932年から1933年にかけての大不況のために経済が落ち込んだ時は、ヴィンテージ宣言はされません。ポートワインを製造する大手業者の大半がその品質とタイミング(市場環境など)に同意した時に初めてヴィンテージ宣言が出されるというシステムになっているのです。しかし、ヴィンテージポートの難点は、熟成に長い時間がかかってしまう事です。少なくとも10年から20年さらには、もっと寝かせなければいけません。出荷からお金の回収までに大変な時間と資本がかかってしまう事が難点のひとつと言われています。しかしピークのヴィンテージは、至高のポートワインになっているのです。
1942年 ★★★
10社が宣言。非常に良い年だが、戦時中で軽視された。あまりみかけない。
1944年 ★★★★
3社が宣言。卓越した品質だが、業者たちは45年ものに集中した。めったに見かけない。
1945年 ★★★★★
22社が宣言。傑出した当たり年。今世紀の最高峰のひとつで、1935年以来では、確実にトップ。グラハム社は傑出。
1947年 ★
11社が宣言。良好で豊作。充分に熟成している。飲んでしまわなければならない。
1948年 ★★★★から★★★★★
9社が宣言。深みがあり、力強く、アルコールの強いポート。フォンセカ社は良好、グラハム社は際立っている。テイラー社も群を抜いている。今が最高の飲みごろ。
1950年 ★★
13社が宣言。天候に関しては全体的に満足した年。しかし軽くてむらのあったワイン。飲みきってしまうこと。
1954年 ★★★★
3社が宣言。55年が大成功したために多くのところが宣言しなかったが、良い収穫年だった。マルベドスは非常に良い。
1955年 ★★★★★
26社が宣言。大成功の年で、輸出業者たちやイギリスの酒商人に大歓迎された。戦後の中では最高。大体今が完璧だが、多くのものがあと10年は大丈夫。
1958年 ★★★★★
12社が宣言。軽いワインだが良好。マルティネスは最も価値のあるポート。
1960年 ★★★から★★★★
24社が宣言。すべて今充分に熟成している。
1961年 ★★★
宣言なし。良いワインもいくらかある。秀作年の1958年と1960年に近かったため、宣言をしないところが多かった。
1962年 ★★
宣言なし。ナシオナールは2020年頃までが飲みごろ、それ以外はもう飲んでしまうこと。
1963年 ★★★★★
25社が宣言。拍手喝采をあびた、傑出した秀作年。構成が良く、色の濃い、優美なポートで長く寝かせておける。ダウ、フォンセカ、グラハム、テイラー、ウォアが最高。最上のものは2020年頃までもつ。
1964年 ★
宣言なし。飲みきってしまうこと。
1965年 ★
宣言なし。すぐに飲みきってしまうこと。
1966年 ★★★★★
20社が宣言。ほとんど今実に見事なものになっているが、5年から15年くらい経って、もっと完熟させればバランスがまだ良くなる。
1967年 ★★
4社が宣言。コックバーン社、マルティネス社、サンデマン社、ノバル社は、1966年ではなくてこの年を秀作年として宣言した。一方、グラハム社とテイラ-社は二流扱いにした。
1968年 ★★
宣言なし。飲みきってしまうこと。
1969年
宣言なし。
1970年 ★★★★★
23社が宣言。非常に満足出来る出来映えだったが、過小評価された年。また、この年は、樽詰めポートをイギリスで瓶詰め出来た最後の年として重要。
1971年 ★
宣言なし。飲みきってしまうこと。
1972年 ★
3社が宣言。 飲みきってしまうこと。
1973年
宣言なし。飲みきってしまうこと。
1974年 ★
宣言なし。飲みきってしまうこと。
1975年 ★★★
17社が宣言。ほとんどが今とてもおいしく飲める。ただ多少過大評価された年。
1976年 ★
2社が宣言。飲みきってしまうこと。
1977年 ★★★★★
20社が宣言。クラシックタイプの偉大な収穫年。一般に、この年のワインは色が濃く、安定していて良質。今から2020年まで飲めるしそれ以後でも大丈夫。
1978年 ★★★
8社が宣言。フェッレイラ社、グラハム社のマルベドス、そしてもちろんノバル・ナシオナールを除いて、ほとんどは今がピーク。
1979年 ★★
マイナーな3社が宣言。飲みきってしまうこと。
1980年 ★★★
多くのヴィンテージ宣言。まあまあの収穫年。77年、85年ものが熟成するのを待つ間飲むのにちょうど良い。ピークは2000年前後。
1981年 ★
宣言なし。飲みきってしまうこと。
1982年 ★★★からよくても★★★★
12社が宣言。すべて今飲める状態。クロフトなど数少ないトップ級の業者のものは、2000年を越えても大丈夫。
1983年 ★★★★
およそ10社のメイジャ-業者が宣言。一流でない業者とクインタのものは今飲んでしまった方が良い。グラハム社やテイラー社のような大手のものは、今から2015年まで。
1984年 ★★
宣言なし。ブレンド向きワインの年。さまざまなシングル・クインタと、遅詰めヴィンテージが出来た。飲みきったほうが良い。
1985年 ★★★★★
26社が宣言。魅力的な収穫年で、満場一致で宣言。断言できないが1945年、1963年、1977年とほとんど同じレベル。
1986年 ★★
宣言なし。すぐに飲みきってしまうこと。
1987年 ★から★★★★
宣言したのは、マルチネス社だけ。良質なシングル・クインタでも飲んでしまうこと。
1988年 ★★
収穫量は約30%から35%減。ワインの出来は良好だったがヴィンテージものの品質ではなかった。
1989年 ★★
夏じゅう続いた旱魃のために、良いヴィンテージ・ポートになる可能性のあるワインがわずかばかり生産されただけ。
1990年 ★★★
宣言なし。良いシングル・クインタもののなかで、今、とても良い飲みごろとなっているものがいくつかある。
1991年 ★★★★
非常に良い年で、広く「宣言」が行われた。熟成には10年から20年は必要。
1992年 ★★★
生育期の奇妙な天候にもかかわらず、結果は、満足のいくものだった。良い品質のワインが造られた。テイラーズ社やフォンセカ社は1991年はヴィンテージ宣言しなかったが、1992年には宣言した。
1993年
近年まれにみる不作の年。宣言なし。
1994年 ★★★から★★★★
ぶどうがとても健康的だったので、発酵もうまくいき、結果としては収穫量は減少したものの、良好から秀逸の域にまでなった。