1944年 ★★ 平年の収穫高をやや上回る取れ高。摘み取りの終わりの頃降った雨がワインの質を不均等なものにした。軽めで、短命。最上のときは、風味に満ちたスパイシーで、魅力的。衰えあせる前に飲んでしまうといいでしょう。
1945年 ★★★★★ 1920年代の傑作に、質の点で勝るとは言わなくても劣らない一連の当たり年の先駆となった年。今世紀の中でもトップスリーのひとつ。本来なら大量のぶどうを養う土壌からの滋養分を少ない実が分かち合ったため、ワインは一般に深みがあり、濃厚で、風味が詰め込まれている。もう衰えて、うるおいを失ったものもあるが、ポムロールとメドックの最上のものは、色の深みがそぐわないとはいえ濃厚かつ豊潤。1961年より素晴らしいかも。
1946年 イナゴの襲来で不作になった奇妙な年。ほとんど残っていませんが、たまに見つかることがあります。
1947年 ★★★★★ 戦後の出色のひとつ。コクがあって、肉づきが良く、暖かみがある大物のワインを生んだ年。ポムロールがすばらしい。
1948年 ★★★ 原石のままのダイヤモンドといった感じ。洗練されておらず、魅力に欠ける。収穫量は1947年の4分の3だったようですが、質はよかった。ただどうしても、47年、49年ものには、負けてしまうとのこと。
1949年 ★★★★★ 異常な気象状態が続いたが、偉大な作柄になった。記録的な異常乾燥だった1月、2月の後、寒く雨がちな開花期のためにいまだかつて経験したことのない最悪の結実不良になってしまった。その後、次第に暑くなり、前例にない程の猛暑になる。量こそ少ないが、しなやかで、素晴らしくバランスのとれたワインが出来た。大体が、今まさに飲み時。サンテミリオン、ポムロール、グラーヴ、メドックの特級クラス、特にマルゴーとポイヤックは、傑出。
1950年 ★★ 戦争で空になったワインセラーを補充するため、大量生産され、質にバラつきがある。ポムロールに良いものがあるが、成功したのはマルゴーとグラーヴ。飲んでしまうこと。
1951年 おそらく、1930年以来最悪の年のひとつ。
1952年 ★★から★★★★ 当時は良い年と思われたが、多くのものはワインらしさをなくし、魅力を失った。収穫量は平均以下。ポムロールとサンテミリオンは素晴らしい。グラーヴも良い。しかし全体的にバラつきがあります。
1953年 ★★★★★ 素晴らしい当たり年。最も魅力的で、最高にエレガントなクラレットの理想の姿。ほとんどがいまだに完璧なピークの状態。
1954年 ★ 記録上、最悪の夏に入るが、一部に素晴らしいものを造ったところもある。だが、今では、お目にかかることはめったにない。
1955年 ★★★★ 良い出来なのにいささか過小評価されている年。最初は変わりやすい天気だったが、夏、特に7月が理想的。9月に恵みの雨。トップ級の格付けもの、特にメドック、グラーヴのものは、今も完璧。
1956年 戦後最悪の年のひとつ。
1957年 ★ バラつきがある年。どれも盛りを過ぎた感あり。なかには今だに驚かされるものもあります。
1958年 ★★ 魅力的であったにもかかわらず、無視されたワイン。この年のワインは、口当たりが良く、風味豊かなのが特徴。
1959年 ★★★★★ この年は、かつて「世紀の当たり年」と新聞でも報道された。戦後では、一番がっしりした体格をもったワインであることは、確か。今でも飲んでみれば素晴らしいです。
1960年 ★ この年のものはわざわざ特に長期貯蔵するまでのことはないが、なかには風味豊かなものもあります。ラトゥール、パルメ、レオヴィル・ラス・カーズなどでは、この年でも良いものが出来たようです。
1961年 ★★★★★ 戦後最高年だし、今世紀のなかでも屈指の年。61年はワイン界の砂金的存在。素晴らしかった1945年と比べて、この年はぶどうの手入れより、運による成功が大。1961年のワインの特徴は、ごく濃い色、濃厚な香り、甘美味、凝縮された成分、良い肉付き・・・・。 なかには、ラトゥールのように、まだ飲めなくてこれからさらに、10~20年必要とするものもある。だがほとんどのものは、今飲んでも馥郁たる味と香りが口に出来ます。
1962年 ★★★★ 豊作でとても良い年。今まさに飲むべし。楽しめること請け合い。
1963年 ひどく悪いというわけではないが、お粗末な年。冷夏で腐敗にやられてしまった。ワインは、味が希薄、酸味がちょっと強い感じ。
1964年 ★★から★★★★ 大体において、非常に良いワインが大量にとれた年。戦後の大豊作のひとつ。多くのものがとても素敵。長く楽しめる味。
1965年 戦後4回あった不作の年のひとつです。夏は多雨でぶどうが熟すのが遅れてしまった。
1966年 ★★★★ 長くとっておける素晴らしいワインの出来た年。豊潤という訳ではないが、しっかりとした肉付きのワイン。特級ワインならあと10年おいても大丈夫。
1967年 ★ 開花は順調、7月と8月は暑くて乾燥しておりましたが9月に入ると雨の多い寒い天候が3週間続き、最後の週にようやく暑さが回復した。収穫期は、上天気の合間に何度かひどい雨が降るという混乱した状況だった。赤のACワインの生産量はこの10年間の最高を記録したが、品質にムラがあり、ワインの多くが、後味に特有の苦味があります。
1968年 1951年以来の不作の年であることは、議論の余地はありません。ほとんど残っていません。
1969年 ★ 豊潤さに欠ける酸味の強いワインが出来た年。
1970年 ★★★★ 生育条件が理想的だったので、完璧に熟したぶどうが大量に収穫され、質量ともに成功するという稀な年。1960年代に植えられたブドウの木から、良質ワインが取れるようになった年でもあります。質の高さという点では1934年以来最高。すぐれたヴィンテージワインは晩熟型。
1971年 ★★★★ メドックのトップクラスの中にやややせすぎのものがあったが、ほとんどは、素晴らしく楽しいワインが出来た年。グラーヴ、ポムロール、サンテミリオンの多くは、今飲んでも美味。
1972年 8月に異常な程雨が多かったために、収穫が遅れ、ブドウの熟しかたも足りなかった。忘れさられるべき年。
1973年 ★★ 最上のものは適度に魅力的だが、一般に軽いワインが大量に出来た年。とても魅力的だが熟成の早いワインが出来た年。驚く程よくもっているワインもあります。サンテミリオンとポムロールは、偉大な魅力を持ちながら短命で、今は、やや盛りを過ぎた感があります。
1974年 夏は、素晴らしい天気でしたが、9月の長雨のために全てをダメにしてしまった。酸味や苦味が強く、魅力のないワインが大部分。
1975年 ★から★★★★ メドックとグラーヴのいくつかのシャトーでは70年代の中でも最高のヴィンテージの様相をみせています。ポムロール、サンテミリオンでも成功したワインがたくさんあります。
1976年 ★★から★★★★ 未だに魅力的で味わい深いものもあるが、ほとんどのものが風味に富むがあまり長もちはしない。特級ワインのいくつかは、手元に残してもOK。
1977年 不作年。バラつきが多かった70年代の中で最低の年。色付きの良いものもたまにありますが、ほとんどが味わいの深みと長さに欠ける。
1978年 ★★★ 3月は1870年以来といわれる雨の多さだったのですが、その後、7月から8月、9月にかけて例年になく乾燥した日が続いた。収穫の開始は遅かったが、理想的な状態で摘み取ることができた。この年のワインは古典的なタイプで、絶妙のバランスを保っている。予期したより早く熟成して、今飲むのが理想的。
1979年 ★★ 遅めの開花だったが、果実のつき具合は素晴らしかった。8月に入って多湿の寒い日が続いたが、9月には天候も回復して、大量のブドウを収穫することができた。ワインは素晴らしく深い果実味、活力、魅力に満ちているが、バックボーンと素性の良さに欠けるきらいがある。
1980年 ★ 6月の気温が1946年以来の低さだったため、開花が長引いてどこも不結実に泣かされた。7月も異常な寒さだったが、そのあとの、8月、9月は結構暖かかった。収穫がひどく遅れたが、これは多くのシャトーにとって1922年以来のことで、収穫量のほうも1969年以来の最低という有り様だった。スタイリッシュなワインだったという点では、重宝な年。
1981年 ★★から★★★ 良質のワインが出来たが、量は、少なかった。この年のワインは、あまりにも素晴らしかった、82年と80年に挟まれて影が薄いが、悪いものではない。
1982年 ★★★★★ ボルドー全域が素晴らしい当たり年。この年のワインは、10年に一度の出来映えであることがすぐに分かった。ポムロール、サンテミリオンのほとんどと、グラーヴの赤は今でも飲める。もっとも寝かせておいてみてもいい。
1983年 ★★★★ 良質のぶどうの大豊作。このぶどうから造られたワインの中には、非常に魅力的で、82年のものよりボルドーの特質がよく現れたものもある。
1984年 ★ この年のワインは、すぐに飲んでしまってもよいでしょう。特級品でも寝かせておいて味が良くなる見込みなし。格付けの低いものも味がやわらぐ見込みは、ないです。
1985年 ★★★★★ 開花期間中雨が降ったにも拘わらず、果実のつき具合はとても良かった。ヴィンテージの性格は、夏の暑さに続いて記録的な乾燥度になった9月と、暖かくて乾燥した10月につくられた。ACの赤は最大の収穫高を記録した。全体にわたって、ぶどうの品質は非常に高く、ワインは、素性の良さが出て53年のような古典的なスタイルを備え、全面的に傑出したものになった。
1986年 ★★★★★ 第二次世界大戦以来最高の収穫高。収穫量の多さにワインの質の方が心配されたが、出来あがったワインは、アルコール度が高くタンニンの豊富な力強いワインで、この凝縮された豊潤なワインはかなり長い間飲めます。
1987年 ★★ この年は、前の2年とその後の3年の当たり年の間にはさまれて損をしている。しかし、実際は軽くて口当たりの良い、早飲みのワインが出来ています。
1988年 ★★★★ 多湿の冬と春の後に、平均的な年より乾燥ぎみの夏が続き、非常に暖かい10月で終わった。ぶどうの品種によって熟成度に顕著な違いがあり、畑の位置によっても大きな違いがでた。そのため品質の点でも、はっきりとした違いが出た。スタイルで言えば、初めは1986年に見られたような恐ろしくタンニンの多いワインだったが、次第に優雅で洗練された古典的ワインに育ちつつある。
1989年 ★★★★★ 過去30年間において、平均的に見て最もおだやかな暑さと日照に恵まれ、乾燥した夏だった。開花は5月20日。摘花は8月28日から始まったが、これは1893年以来最も早い収穫である。ワインはアルコールが高いが、甘美な果実味をそなえ、タンニンは1982年を連想させる柔らかく角のとれたものだった。AC級の赤ワインの収穫量は35万ヘクトリットルを超え、1986年をしのぐ新記録。
1990年 ★★★★★ 多産で成功した年。マイナーな土地区のワインでも、若くて果実味のあるワインが出来た。メドックの格付け銘柄ものは1999~2015年まで持ちますし、特級はさらにその先。この年のサンテミリオンはリッチで芳醇な果 実味と構成の良さが特徴。
1991年 ★★から★★★ バラつきの年。出来映えは、1981年より良く、1962年と同じくらいか、もしかすると1985年に匹敵するかも。 ラトゥール・ド・ベイ、モンローズ、コス・デストゥルネル、ラトゥール、レオヴィル・ラスカーズ、などのシャトーがきちんと充実していて、驚く程の魅力を持つ。
1992年 ★ 失望の年。夏の間の長雨で日照時間も少なかったために出来もあまり良く無かった。
1993年 ★★から★★★ 決して秀逸な当たり年とは言えないが、注意深く選べば個性的なワインに会える。結果は全体的に見てそう悪いものではない。 サンテミリオンは2000年を過ぎても飲めるだろうが、メドックは、上物でも飲んでしまった方が良い。
1994年 ★★★ 多難な年。しかし、風味の増す可能性のあるワインが産出された。全体に良く熟し、色づきも濃く、天然のタンニンの含有量は多く、年を経て良くなる可能性はある。飲み頃はメドックのトップクラスのシャトーで2010年頃。
1995年 ★★★★★ 素性とスタイルが良さが出た正統的な果実味を持つカベルネ・ワインが生まれた。どの地区もうまくいった。特にサンテステーフが良い。サンテミリオンとポムロールがとびっきり良い。
1996年 ★★★★★ 気象状況が型やぶりだったので、ワインの方も個性的なものになった。6月と7月はしばしば平均気温を越したが、8月に入ると通常以上の多雨で平均気温を下回った。それから3週間日照りで乾燥した日が続いたが、9月の初めに予想したほどには気温が昇らなかった。このことがぶどうの含有糖分を驚くほど上げたが、夜が寒かった関係で酸分も多くなった。その結果、カヴェルネ・ソーヴィニョンとしては、例外的に含有糖分の多い年になり、82年や89年より多かった。メルロの糖分は85年より高く、89年より低かった。